外来生物次々と侵入 広がる生態系への影響
もともと八重山にはいなかったインドクジャクやオオヒキガエルなどの生き物が分布を広げ、人間の社会にも影響を及ぼし始めている。去年は、バンナ公園にボタンウキクサ(通称・ウオーターレタス)が繁殖していることが分かり、外来種は市民の憩いの場にも入り込み始めた。さらにグリーンイグアナ、キジも増え、昆虫や植物を食害している。南西諸島の南西端で固有の生態系を誇る八重山の自然。外来生物の影響はどこまで広がるのだろうか。
■猛毒のオオヒキガエル ヤマネコ捕食を警戒
特定外来生物のオオヒキガエル駆除活動は、2008年から市民参加型で行われている。環境省那覇自然環境事務所が「石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦」を実施しているもので、これまでに実施した2回の「大作戦」には延べ153人が参加し、オオヒキガエル合わせて7679匹を捕獲した。
オオヒキガエルは78(昭和53)年にサトウキビの害虫を駆除する目的で石垣島に導入された。ネズミやヘビまで食べ、繁殖力も強いことから、在来の生物が生息域を圧迫されるおそれが高い。
移入から30年以上が過ぎ、現在では石垣島のほぼ全島に広がった。石垣島の周辺では西表島や波照間島でも合わせて30件以上の目撃情報や捕獲があるが、繁殖するまでには至っていないとみられる。
外来生物が自然界に与える影響は「物理的な自然破壊や化学的な汚染にひけを取らない」(太田英利琉球大学熱帯生物圏研究センター教授)。その影響のありようは、予測不可能とさえ言われる。
八重山の外来生物について環境省が最も警戒しているのは、オオヒキガエルやシロアゴガエルなどの特定外来生物が西表島に定着しないかという点だ。西表島では、国指定特別天然記念物のイリオモテヤマネコが生息する固有の生態系がはぐくまれており、外来種の侵入がそれを大きく変えてしまうおそれがある。
石垣島と西表島の間は高速船なら30~40分。船舶は頻繁に行き来しており、人や貨物を経て特定外来生物が西表島に侵入し、定着してしまわないとも限らない。
「石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦」は、市民の力を借りてオオヒキガエルを駆除し、外来生物への関心を高めてもらおうというイベント。繁殖に直結するメスを捕獲した場合の点数をオスより高くするなど、遊び感覚で駆除に参加できるように仕掛けがしてあるのが特徴だ。
■手を焼くインドクジャク 30年以上も被害広げる
尾羽根を広げたオスの姿が美しいインドクジャクだが、八重山ではその駆除が課題となっている。観光施設で飼育されていたものが八重山の各地で野生化し、環境省によると、小浜島で約400羽、石垣島で約90 羽、黒島で約50 羽、新城(あらぐすく)島で約25 羽が野生化し、繁殖。西表島に、小浜島から飛来する個体もある。
環境省は「インドクジャクが高密度で生息している小浜島では、トカゲ類などの小動物が激減」などとして、生態系への影響を懸念している。
環境省は06年度から新城島の上地(かみじ)で捕獲作業を実施している。上地は面積1.76平方キロというコンパクトなサイズで「面積が小さく、実験的な駆除作業がしやすく、モデルにすることができる」として選択した。
駆除作業では、猟銃や網、わななどを試みた結果、猟銃が最も効果的であることが分かり、沖縄県猟友会八重山支部に属する西表島東部地区の会員の協力を得ながら進めてきた。その結果、生息数は、09年10月には7羽まで減少している。目標は根絶だが、オスのみ、またはメスのみで2、3羽となるまで駆除を試みる方針だ。石垣島でも07年度に調査が行われているが、根絶に至る道筋を描き出すめどは立っていない。
インドクジャクが問題なのは、生態系に対してだけでなく、人々の経済活動にも直接被害を与え始めている点だ。石垣市農政経済課によると、クジャクによる農作物の被害には、稲の穂をかじり取られるなどのケースがある。県八重山農林水産振興センターによると、農作物に被害を及ぼす有害鳥獣として駆除したクジャクの個体数は年ごとにばらつきがあるが、03年度以降の6年間では08年度の257羽が最も多く、同年度は石垣島と竹富町の小浜島でも駆除が行われた。
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